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ともぶちクリニックビル1F

手外科HAND

手外科とは

手

手外科とは、手・手首・指・肘などの上肢に生じるさまざまな疾患やけがを専門的に診療する整形外科の一分野です。手は日常生活の中で最も頻繁に使う部位であり、その構造は非常に繊細かつ複雑です。骨、関節、筋肉、腱、神経、血管などが緻密に連携して動作を実現しており、わずかな障害でも痛みや不自由さにつながります。そのため、手外科には整形外科領域全般の要素が備わっていると言えるでしょう。

当院では、日本手外科学会認定 手外科専門医である院長が診療を担当し、機能の回復はもちろん、日常生活の質(QOL)の向上を目指した治療を提供いたします。手外科専門医は、日本整形外科学会 整形外科専門医(または日本形成外科学会 形成外科専門医)であり、かつ日本手外科学会に入会し、5年以上、手の外科に関する研修を受け、手の外科専門医試験に合格している手外科診断・治療に関するエキスパートです。

手外科では、手指の骨折や脱臼、腱や神経の損傷、関節の変形、しびれやこわばりなど、幅広い症状に対して専門的な検査・診断・治療を行います。とくに、再建手術や日帰り手術など、高度な技術を要する治療にも対応できるのが手外科専門医の特徴です。

こんな症状があれば手外科をご受診ください

手や指の症状は、放置していると悪化してしまう場合や、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。次のような症状がある場合は、早めにご相談ください。

手外科で扱う主な疾患例

腱鞘炎

腱鞘炎

腱鞘炎は、指や手首の腱が通る「腱鞘」と呼ばれるトンネル部分に炎症が起き、腱の動きがスムーズにいかなくなることで痛みや腫れが生じる疾患です。症状は、動かしたときの引っかかり感、痛み、腫れなどで、悪化すると動かすこと自体が困難になります。

原因は主に手や指の使い過ぎで、仕事などで指や手を慢性的に酷使する方によく発症します。また育児・家事などで手を酷使する人にも多くみられます。近年ではスマートフォンやパソコンの操作などによるものも多くなっています。代表的なものに「ばね指」や「ドケルバン病(親指側の腱鞘炎)」があります。

ばね指は、指を曲げる腱に炎症が起こり、腱が腱鞘をスムーズに通過できなくなることで、指の曲げ伸ばしに引っかかりや痛みを生じる状態です。ひどくなると指が途中で引っかかり、ばねのようにカクンとはねる動作がみられるのが特徴です。

一方ドケルバン病は、親指の付け根から手首にかけての腱に炎症が起こる腱鞘炎で、物を持ち上げる、スマートフォンを握るといった動作で親指側の手首に痛みが出ます。出産後の女性や手をよく使う方に多くみられます。

治療は、安静・湿布・内服薬・ステロイド注射などの保存療法が中心ですが、改善しない場合は腱鞘を切開して腱の動きを回復させる手術が検討されます。

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)

テニス肘

テニス肘とは、正式には「上腕骨外側上顆炎」と呼ばれる疾患で、肘の外側に痛みが生じるのが特徴です。テニス愛好者(とくに中高年)に多くみられることからこの名前がついています。上腕の骨と指の骨をつなぐ筋肉(腱)が、加齢等で劣化したところに、テニスなどによって使いすぎることにより、肘の外側の骨の近くに炎症が起きて発症します。

テニス以外にも卓球やバドミントン、ゴルフや剣道、またピアノやバイオリンといった楽器の演奏などでも発症することがあり、さらにはパソコンの使用時間が長い事務職の方などスポーツをしない方でも発症する場合があります。痛みは肘の外側から前腕にかけて広がり、手首を反らせる動作や物をつかんで持ち上げる動作、具体的にはタオルを絞る、ペットボトルのふたを開ける、鍋を持ち上げるといった日常的な動作で痛みが強くなります。

治療は保存療法が中心で、安静やストレッチ、薬物療法、装具の使用、ステロイド注射などを行います。症状が長引く場合や、ほかの治療で改善が見られない場合には、手術を行うこともあります。

へバーデン結節

へバーデン結節

へバーデン結節は、指の第一関節(DIP関節)の関節軟骨が変形し、腫れや痛みを伴う変形性関節症の一種です。放置していると骨も変形していき、関節の可動域も減少してしまいます。加齢や使いすぎ、ホルモンバランスの変化などが関与していると考えられており、とくに中年以降の女性に多くみられます。

ほとんどの場合、複数の指に症状が現れます。初期には指の第一関節が腫れ、熱感や痛みが出ますが、進行すると関節が硬くなり、骨性のこぶ(結節)を形成して変形が目立つようになります。見た目の変形だけでなく、細かい作業や力を入れる動作に支障が出ることもあります。

治療は基本的に保存治療で、痛みが強い場合は鎮痛薬や外用薬の使用、装具でのサポートを行います。なかでもテーピングが有効とされています。関節の破壊が著しい場合には、関節固定術などの手術が選択されることもあります。

母指CM関節症(母指 carpometacarpal 関節症)

母指CM関節症

目で見て親指(母指)の付け根に位置する関節は母指MP関節といいますが、レントゲンで撮影すると、そのさらに手首側に関節が確認できます。これが母指CM関節です。母指CM関節症は、この関節に起こるもので、手をよく使う仕事や家事などによる繰り返しの負担が原因とされ、関節を支える靭帯が緩んだり、関節表面を覆う軟骨がすり減ったりすることで炎症や変形が起こります。

症状は、物をつまむ・ひねるといった動作での痛みや不快感、腫れ、親指の動かしにくさなどが中心で、進行すると関節が変形して力が入らなくなることもあります。加齢やホルモンバランスの変化なども関係していると考えられており、とくに更年期以降の女性に多く発症します。

治療はまず保存療法として、安静、装具の装着、消炎鎮痛薬やステロイドの内服や注射を行います。重症例では、関節の再建術や関節固定術などの手術が行われることもあります。当院では、日常生活への影響を最小限に抑える治療を心がけています。

手根管症候群

手根管症候群

手根管症候群は、手首にある「手根管」と呼ばれる狭い空間内で、神経が圧迫されることで起こる疾患です。手根管には親指から薬指までの正中神経と呼ばれる神経と屈筋腱が通っており、腱を使いすぎると腱を覆っている滑膜が厚くなって正中神経を圧迫します。それにより手のひら側、とくに親指から中指にかけて、しびれや痛みが現れます。朝方や夜間に症状が強くなることが多く、進行すると指の感覚が鈍くなったり、つまむ動作が困難になったりします。

原因には、手を酷使する労働、妊娠や更年期によるホルモンの影響などが考えられ、とくに女性に多くみられます。ほかに糖尿病、関節リウマチ、血液透析、甲状腺機能低下症などとの関連が疑われています。

治療としては、軽症の場合は、装具(サポーター)の使用や消炎鎮痛薬、ステロイド注射などで改善を図ります。症状が長引いたり悪化したりした場合は、正中神経の圧迫を解除する手術(手根管開放術)を検討します。当院では、症状の程度に応じて、適切な時期での治療をご提案いたします。

関節リウマチによる手指変形

関節リウマチによる手指変形

関節リウマチは、免疫の異常によって関節に炎症が起きる自己免疫疾患で、とくに手指や手首の小さな関節に症状が現れやすい病気です。初期には朝のこわばりや軽い腫れ、痛みがみられますが、放置すると関節が徐々に破壊され、手指の変形や動かしづらさ、筋力の低下などが進行します。

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病気の進行は個人差がありますが、早期からの適切な治療が機能維持に大きく影響します。まだ関節の破壊がみられない初期段階の治療では、内科的治療が基本です。抗リウマチ薬や生物学的製剤などを使用した薬物療法で炎症を抑えます。

すでに変形が進んでいる場合には、機能の改善や痛みの軽減を目的とした手術治療も選択されます。またリハビリを行うことも重要で、リハビリでは、関節可動域の維持・改善や、筋力の強化による日常生活の動作の向上、装具を活用しての関節負担の軽減などを目指していきます。